導入事例

停電時も光る!神恵内村役場の新庁舎が導入した防災設備とは?

津波リスクと向き合う海辺の村・神恵内村

北海道後志地方にある神恵内村は、日本海に面した自然豊かな小さな村です。海の恵みを受けて生活する一方で、地震発生時には津波による甚大な被害が想定されており、北海道からは「津波災害警戒区域」に指定されています。

こうした背景から、神恵内村では防災意識の向上とともに、災害時の「避難体制の整備」が大きな課題とされてきました。そして2021年春、村の行政と防災の拠点となる新庁舎が完成。この新庁舎には、通常の行政機能に加え、緊急時には津波避難ビルとしての役割を果たす構造が取り入れられています。

津波避難ビルとして設計された新庁舎の役割

2021年春に完成した神恵内村役場の新庁舎は、単なる行政機能の拠点ではありません。建物全体が「津波避難ビル」として設計されており、災害発生時には村民が一時的に避難できる拠点としての役割も担います。

特に、従来の避難場所では安全な高台まで距離があり、迅速な避難が困難という声も上がっていました。新庁舎は村の中心部に位置し、多くの住民がすぐに駆け込める場所であることから、避難所機能を持たせることは防災上、非常に大きな意義があると判断されたのです。

また、鉄筋コンクリート構造による耐震性と、高さを確保した設計により、津波襲来時の安全性も十分に考慮されています。平時は行政庁舎として、非常時には命を守る避難拠点として、地域に密着した「ハイブリッド型公共施設」として整備されました。

採用された蓄光製品の概要と導入理由

神恵内村の新庁舎には、夜間の災害や停電発生時にも安全な避難を可能にするため、「アベイラス・アルシオール」シリーズの蓄光製品が採用されました。導入されたのは、避難階段の段差を視認しやすくする蓄光ステップ、進行方向を示すサインプレート、そして手すりの蓄光マーキングです。

これらの蓄光製品は、日中に太陽光や照明の光を蓄え、夜間や停電時にも発光するため、電源が遮断された状況でも避難経路を明確に視認することができます。とくに北海道のように冬場は日没が早く、悪天候も多いため、こうした“光る避難設備”の整備は非常に実用性の高い防災対策といえます。

また、電気やバッテリーに頼らないため、メンテナンスの手間が少なく、長期的にも安定した機能を発揮できる点が、公共施設としての導入に適していると判断されました。住民の命を守る備えとして、神恵内村は機能性と信頼性を兼ね備えた設備を選びました。

夜間・停電時でも確実に避難できる仕組みとは?

災害はいつ発生するか予測できない以上、夜間や停電時の状況にも対応できる避難設備の整備は極めて重要です。特に、北海道のように冬場の夜が長く、吹雪などで視界が遮られるリスクのある地域では、視認性の高さが避難の成否を左右します。

神恵内村の新庁舎では、避難階段や手すり、誘導標識に蓄光製品が一体的に設置されており、暗闇の中でも避難経路が自然に目に入る設計となっています。光のラインで段差や方向を示すため、パニック時でも足元を確認しながら安全に移動できるのが大きな特長です。

また、視覚に頼れない高齢者や障がいのある方でも直感的に行動できるよう、ピクトグラムや位置表記など、ユニバーサルデザインの視点も取り入れられています。こうした「誰一人取り残さない避難環境」は、これからの防災施設に求められる標準となるでしょう。

神恵内村の取り組みが示す地域防災の新たな方向性

神恵内村役場の新庁舎整備は、「防災」と「日常利用」の両立を図る現代の公共建築のあり方を示す好例です。津波災害警戒区域にある村として、地域住民の安心・安全を守るために、災害対応に必要な機能を徹底的に取り入れたこの建物は、地域防災力を大きく底上げする存在となりました。

蓄光製品を活用した避難設備は、単なる設備投資にとどまらず、住民の防災意識向上や避難行動の実効性にも寄与しています。万が一の災害時、「避難できる場所がある」「迷わず逃げられる道がある」という安心感が、日々の生活にも大きな信頼をもたらします。

今後は、このような地域の特性に合った防災インフラが全国的に広がっていくことが期待されます。神恵内村の事例は、災害に強いまちづくりのモデルとして、他自治体や防災関係者にとっても学び多い成功事例と言えるでしょう。

まとめ

北海道後志地方にある神恵内村では、津波災害警戒区域に指定される地域特性を踏まえ、2021年春に新庁舎を「津波避難ビル」として整備しました。この新庁舎には、夜間や停電時の災害を想定し、避難階段・手すり・標識に蓄光式の「アベイラス・アルシオール」製品が採用され、非常時でも明確な避難経路を確保できる体制が整えられています。

電力を必要とせず光を蓄えることで発光する蓄光製品は、北海道のように冬の夜が長く悪天候も多い地域において、特に高い効果を発揮。段差や方向を示す光のラインにより、避難時の混乱を防ぎ、安全かつ迅速な行動を促します。

神恵内村の新庁舎は、日常と災害時の両方に機能する“ハイブリッド型公共施設”として注目されており、今後の地域防災のあり方に一石を投じるモデルケースです。こうした取り組みが他地域へと広がっていくことで、全国の防災力がより強固なものになっていくことが期待されます。

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