導入事例

夜明け前の命綱!焼津漁港で始まった新たな津波対策のかたち

焼津漁港が抱える津波リスクと防災の必要性

全国でも有数の水揚げ量を誇る静岡県・焼津漁港は、日本の水産業にとって欠かせない存在です。一方で、南海トラフ巨大地震が発生した場合には、津波による大きな被害が想定されており、早朝から働く漁業関係者にとっては、特に迅速な避難経路の確保が重要となっています。

漁業の現場は、夜明け前の暗い時間帯から動き出すことが多く、暗闇の中でも迷わず避難できるインフラ整備は、命を守る上で不可欠な要素です。そうした背景から、焼津漁港では津波避難の体制強化が進められ、静岡県が主導する避難タワーの整備が本格化しています。

静岡県が進める津波避難タワー整備の背景と狙い

焼津漁港の防災対策は、静岡県が中心となって推進しており、南海トラフ巨大地震に備えた取り組みの一環として、避難インフラの整備を段階的に進めています。とくに漁港という特性上、堤防からの津波襲来が早く、従来の避難所では間に合わないケースも想定されるため、現場近くで即時に避難可能な「津波避難タワー」の整備は喫緊の課題でした。

2021年2月、焼津漁港内に2基の津波避難タワーが完成。この施設は、漁港で働く人々がその場から直ちに避難できるよう設計されており、海辺で働く人々の“命の砦”としての役割を担っています。県はこれを「津波発生時に最短距離で垂直避難が可能な構造」と位置づけ、地域密着型の防災施設として高く評価しています。

この整備は、漁港に限らず、海沿いの他の地域にも波及しうるモデルケースとして注目されており、今後の災害対応インフラの在り方を示す先進的な事例といえます。

「アベイラス アルシオール」シリーズの導入で安全性と視認性を強化

焼津漁港の津波避難タワーには、「アベイラス アルシオール ステップ」および「アベイラス アルシオール サインプレート」が導入されました。これらはいずれも蓄光技術を活用した製品で、停電や夜間でも高い視認性を保ち、避難経路の安全を確保します。

「アルシオール ステップ」は、避難階段の踏面に設置され、発光によって足元を照らします。視界が悪い状況でも段差が明確に確認できるため、パニック時や高齢者の避難にも有効です。一方、「アルシオール サインプレート」は、方向や目的地を直感的に示すデザインが施され、避難行動の迷いを最小限に抑える役割を果たします。

これらの蓄光製品は、電源が不要なため災害時の機能停止リスクがなく、長時間の発光を実現する点でも優れています。とくに漁業関係者の多くが活動を始める“夜明け前”まで輝度を維持できる点が高く評価され、「朝でもしっかり見えるので安心」との声も多数寄せられています。

2021年2月に完成した津波避難タワーの構造と配置

焼津漁港内に設置された2基の津波避難タワーは、港の使用状況や作業動線を考慮したうえで、最も迅速に避難できる地点に配置されました。これにより、漁業従事者が船上や作業場からそのまま走って駆け上がれる動線が確保されています。

構造は、コンクリート製の堅牢な高台に階段が設けられた垂直避難型で、津波の第一波から身を守ることが可能です。さらに階段部には「アベイラス アルシオール ステップ」、避難ルートには「サインプレート」が一体的に設置され、昼夜を問わず避難者を正確に誘導できる設計となっています。

このように、単に高さを確保しただけでなく、暗闇や混乱の中でも確実にたどり着ける「実効性のある避難施設」として完成されており、防災インフラとしての完成度は非常に高いといえます。

漁業関係者の声と地域防災への広がり

避難タワーの完成に対して、焼津漁港の漁業関係者からは多くの前向きな声が寄せられています。「漁業の仕事はまだ暗い時間から始まるが、蓄光式のステップとサインがあるおかげで、安心して避難できる」といった声や、「命を守るためにこれ以上ない備えだ」という感想も多く聞かれました。

特に注目すべきは、防災対策が「安心感」だけでなく、「日々の作業環境の信頼性」にもつながっている点です。漁業は天候に左右される不安定な現場ですが、そこに“避難のための明確な道”があることは、精神的な安定にも貢献しています。

さらにこの成功事例は、他地域の港湾施設や災害リスクのある沿岸地域への展開にも期待されています。焼津漁港での取り組みは、単なるインフラ整備にとどまらず、「地域に根差した命を守る仕組みづくり」として、今後の地域防災のあり方に大きな影響を与えるでしょう。

まとめ

静岡県焼津漁港では、南海トラフ巨大地震による津波リスクに備え、2021年2月に2基の津波避難タワーが完成しました。この取り組みは、漁業関係者の命を守るための具体的な対策として、避難の迅速性と安全性を徹底的に追求したものです。

避難タワーには、「アベイラス アルシオール ステップ」および「アベイラス アルシオール サインプレート」が導入されており、蓄光技術によって停電や夜明け前でも高い視認性を実現。足元を照らすステップと、方向を明示するサインが連動することで、暗闇でも確実な避難を可能にしています。

漁業者からは「朝でも光っているから安心」「命を守る備えがあることで作業にも集中できる」といった声が上がり、防災インフラが日常の安心感にも寄与していることがうかがえます。今回の整備は、港湾施設における実効性の高い防災モデルとして、他地域への展開も期待されており、地域に根ざした“命を守る光”としての役割を果たし始めています。

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