養生訓園 玄関・スロープを安全に「転倒事故を防ぐバリアフリー化」




施設紹介と施工の背景:転倒リスクの高まる高齢者施設の課題
岐阜県の社会福祉法人長良川記念会が運営する特別養護老人ホーム「養生訓園」様では、地域に根差した介護サービスを提供する中で、玄関およびスロープ部分の安全性向上が課題となっていました。
特に雨天や湿気の多い日には、コンクリートやタイルの表面が滑りやすくなり、歩行器や杖を使う入居者にとっては転倒リスクが高まります。これまで職員による注意喚起や清掃対応で対処してきたものの、抜本的な滑り対策の必要性を感じ、防滑性に優れた床材を使ったリニューアル工事を実施することとなりました。
改修のポイント:玄関とスロープの“危険ゾーン”をどう解消したか
養生訓園様での改修工事では、特に「歩行の第一歩」を踏み出す玄関と、「勾配によるバランス崩れ」が起こりやすいスロープ部分の安全性を重点的に見直しました。これらの箇所は、高齢者施設の中でも転倒事故が発生しやすい典型的な“危険ゾーン”です。
玄関では段差の視認性を高めるため、色調にコントラストを持たせた床材を採用。スロープ部は、防滑性能の高い素材に加えて、滑り止めラインを配置し、視覚的にも安心感を与える設計としました。
また、屋外であることを考慮し、雨水の排水性や清掃のしやすさにも配慮した設計とすることで、**日常の維持管理まで含めた“安全設計”**が実現されました。
採用された床材と防滑処理の工夫
今回採用されたのは、高齢者施設や医療施設で多くの実績を持つ防滑タイルです。このタイルは表面に微細な凹凸が施されており、雨水や湿気があっても摩擦力を失わず、しっかりと足裏を捉えます。
特にスロープ部分では、勾配に対して十分なグリップ力を維持できる製品を選定。これにより、歩行器や車いすを使用する方でも安心して昇降できる環境が整いました。
さらに、玄関にはノンスリップ加工済みの端部タイルを使用し、動線上の安全性を高めると同時に、全体の色合いや風合いにも統一感を持たせています。安全だけでなく、施設の雰囲気に調和したデザイン性のある仕上がりが実現されました。
施工後の変化と利用者・スタッフの声
工事完了後、利用者の方々からは「滑りにくくなって安心して歩ける」「スロープの足元がはっきり見えるようになった」といった好意的な声が寄せられています。特に、杖や歩行器を使う方にとって、一歩一歩が安定することの安心感は計り知れません。
職員からも、「雨の日でも心配なく誘導できるようになった」「清掃時に水がたまらない構造で管理がしやすい」といった声が上がり、安全面と運用面の双方でのメリットが実感されています。
また、施設を訪れるご家族や見学者からも「きれいで安心感のあるエントランスですね」といった好印象を得ており、施設全体のイメージアップにも貢献しています。
介護施設における安全導線の重要性と他施設への示唆
高齢者施設において、玄関やスロープといった“外と中をつなぐ動線”の安全性は、日々の生活の質に直結する非常に重要なポイントです。転倒事故は入居者の身体的・精神的ダメージだけでなく、施設側にとっても信頼の低下や損害賠償リスクを伴います。
そのため、施設の入口こそ、「最も慎重に設計されるべき場所」とも言えます。今回のような改修事例は、他の特別養護老人ホームやデイサービス、障がい者支援施設などにとっても大いに参考になる取り組みでしょう。
事故を未然に防ぎ、利用者の安心感を高めることは、福祉施設全体の価値を高める重要な投資。養生訓園様の事例は、今後の高齢者施設のあり方に一石を投じる好例といえます。
まとめ
社会福祉法人長良川記念会が運営する特別養護老人ホーム「養生訓園」様では、玄関およびスロープ部分の改修工事を通じて、転倒事故のリスクを大幅に軽減する安全な動線づくりを実現しました。雨や湿気による滑りやすさが課題となっていた同施設では、防滑性に優れたタイルを採用し、入居者・職員・来訪者すべてにとって安心できる環境へとアップデートされました。
施工では、段差の視認性や勾配への対応といった高齢者に特化した細やかな配慮が施され、実用性とデザイン性を両立。施工後は「安心して歩けるようになった」「見た目も明るくなった」といった高評価の声が多数寄せられ、施設全体の印象向上にもつながっています。
高齢者施設において、玄関やスロープといった「生活の入口」の安全性は、転倒事故防止だけでなく、利用者の自立支援や家族の安心感にも直結する重要な要素です。養生訓園様の事例は、安全性と意匠性、管理性のバランスを考えた“バリアフリー設計”の好例として、他の福祉施設にとっても大いに参考となるでしょう。